スリーアウトチェンジの法則

2012.12.05
当社には、野球になぞって『スリーアウトチェンジの法則』なるルールがあり、クレーム対策の行動指針として、従業員にスキル向上の努力を促している。顧客や取引先は、3回おやっ?、イラッ、カチンと来ると、4回目くらいには「お前じゃ話しにならん、上司だせ!社長出せ!」、「貴社との取引(中止)を考えさせてもらう」「賠償金よこせ!」なんて、すごい事になってしまう。そうなる前に、アウトを増やさず、もし、増えたとしても、こちらから手を打ちマイナスをプラスに転じさせるのが狙い。これが成立するまでのお話しをしてみたい。 私が最初の独立チェレンジ失敗前(20代後半のサラリーマンだった)に聞いた言葉である。「日本人は我慢強い民族で、・・・」なるくだりで始まり、それによると、日本人は嫌なことをすぐには告げず、大体4回~5回目あたりで、ようやく怒りや不満の感情が表に出すとの事であった。日本人だけか?と、一瞬、考えたが、それはさておき、私にとって、とても興味深い話であった。早速、自分で実験を始め確かめることにした。相手の言動によって、どの程度まで我慢できるか、我慢できずに自然に不満が表に現れるのは何回目かをカウントしたのだった。 「なるほど~!」。事の顛末にもよるが、言われていることは大体当てはまった。引き続き、他人はどうなのかを、第三者的に周囲を観察してみた。この結果も大体同じものであった。 人の印象では、私は気が短いらしい。でも、実験では、他人と大差なく一般人レベルであった。では、何故、人は私を気が短いと感じるのであろうか?所詮、他人がどこでカウントしているのか?なんて、はっきりとは分かるわけがない。感受性の強い人と、そうでない人では、カウントのタイミングも違って当然であるetc・・・思慮を重ね、ひとつの仮説に行き着いた。『笑いのツボ』同様、『怒りのツボ』が違うのであろうと。当時はそれで終わった。創業後、この時の経験が生きる事になる。 創業まもなくして、(当時は)イケイケ売上至上主義の当社に襲いかかったクレームの嵐に対応すべく、顧客、取引先の『怒りのツボ』について、対策の検討を始めたのである。 ~当社業務における『怒りのツボ』についての結論~ 1.当社の専門分野での怒りのツボは、ほぼゼロであった。そこで突っ込めるなら当社へアウトソーシングをしないかも。突っ込みたくても分からない事が多い。しかしながら、相手が分からないのを良いことに、騙して良いのではない。騙せば、きっと、更なる状況の悪化に繋がるので、絶対お勧めできない。どんな問題にせよ、解決には真摯な姿勢が必要である。 2・人間性とか人間力とかの範疇でエラーがあると、怒りのツボを刺激していた。「約束を守らない」、「言っていることがコロコロと変わる」、「失礼な行為があった」、「同じミスを何度でも繰り返す」、「調子よく元気に返事はするもののやってくれない」、「つい、うっかり~?!」、「もう信じられない。嘘を言っているのではないか?」等々。お前、それって人としてどうなんだ?」と、問われていることが多いと感じた。当たり前のことができない、顧客がそんな感情を抱くたびに当社への信頼は失われてゆく。 これを踏まえて、行動や言動が改善できれば、人の怒りのツボを刺激する可能性は減る。もし、怒りのツボを刺激しても、スリーアウトになるまでに対策を講じればピンチがチャンスになる。当社では、このいい加減な状況に深く反省し、売上を積極的に追求することも放棄し、そして『マナー』や、『基本行動』などの社内外の研修を通して、訓練を重ね、現在、5年が経った。 会社は社長の鏡と言う言葉がある。私が心を入れ替えなければ、きっと、今も。。。いや、会社が存在していないかも知れない。 【注】文中、『当社』と表現しているのは、現在のCブレインズ㈱です。