競争原理の活用

2012.11.30
当社子会社のコールセンターの規模は、二社ともかなり小さめである。各社、大体、30、最大でも50席弱か。それにも関わらず、最大500のブース(席数)を必要とする企業にご利用戴いている。それだけのブースを必要とする企業は、多額の広告宣伝費を投下できる企業ということで、自然と上場企業が多くなり、事業の継続性も申し分なく、安定的な取引が期待できる。 当社コールセンターが、使って貰える理由は、幾つかある。その一つは、現在、最大のビジネスパートナーである、TS社(旧DC社)とのスキーム構築が叶ったことである。 アウトソーシング&インバウンド専門のコールセンターを始めて、半年ほど経過した時に、大きなチャンスが訪れた。2005年(平成17年)3月のことである。要求されたブース数は24時間365日常時60ブース。当社の当時の規模は、常時7ブース。当社で、一気に拡大するのは、クオリティを保証することや、未経験の事業でのノウハウ不足、売上が一社に偏ることの懸念から、当社では、要望通りの拡張は出来ないと、即座に判断できた。 しかし、代替案はあった。そのビジネスパートナーには既に二社のコールセンターとの取引があった。その他社コールセンターとの併用して戴くことを提案した。その中で当社のミッションは、コミュニケーション重視のスクリプト制作と、60ブースの内、10ブースのコールセンター業務を担当するという内容であった。クオリティが悪ければ、即座に解約して構わないとも付け加えた。 当時(約10年前)の状況を説明すると、アウトソーシング&インバウンド専門のコールセンターには、リピーター(得意客)を醸成するサービスは全くなかった。と、思う。コミュニケーション重視と言うより、事務的な応対しか出来ていなかったと思う。金額を含む簡単な商品説明、送り先の氏名、住所を確認するだけしか。。 一方、テレビショッピング業界は、多チャンネル化、新規参入企業の増加により、過当競争時代に突入していた。メディアレーション(=売上ー媒体費)の低下傾向に何らかの対策を講じなければならず、折からの健康食品ブームも相まって、当社のパートナーは、リピーター醸成のスキームを模索していた。 他社と協働する競争原理の活用はこうして始まった。当時は、スクリプト制作程度の協力に留まったが、今では、マーケティングや、他社コールセンターの指導に赴くこともある。常に他社より、結果が良くなければ、こうした仕事に就かせてもらえない。もし、仕事を一社で請け負っていたら、ここまでの成長は出来ていたかは疑問である。今も同様のスキームで仕事を継続しており、そうするのは、自らが、ビジネスに真摯であるための足かせでもある。一社独占ともなれば、胡座をかき始め、甘えが向上心を亡くし、やがて、ビジネスの衰退をもたらすものである。 『売上を欲張らずに、目指す分野に特化したことが、結果的に更なる進化を生んだ。』マーケティングの勉強をしているのであれば、良くある話しである。言葉では一言で終わってしまうが、様々な誘惑にも踊らずに、当社の存在意義をかたくなに追求した結果だと思う。最近3年間は、新規営業は行っておらず(営業部隊を組織しておらず)、全て、新規の取引先は、既存取引先からの紹介のみでやって来れたのも、その結果であると思う。 中小企業は大企業のやることを真似していたのでは生き残れないと思う。中小企業ならではの技で勝負して、常にイノベーションを起こして行かないと、いずれは、大波に吞まれてしまうと考えている。 また、これは、社内の人事においても然りと考えている。