目標設定のノウハウ
2012.12.13
私は、自身のサラリーマン時代に所属していた会社の目標の設定の仕方に、ただ漠然と、であるが疑問を感じていた。現場に渡される目標(数字)と、経営側で保持する目標(数字)に乖離があるからである。時には、役員、事業部、部、課、係で陰の目標値は、各々違うものをもっていたりした。未達成だからと言って、大きなお咎めはない。達成しても、たいしたインセンティブ(褒賞)が出るわけでもない。(インセンティブについては、後日、別途に考え方を述べたいと思うので、ここでは言及を避ける。)
必達目標として現場に渡された数字ではあるが、それが未達成でも平社員であれば、特段、何が変わるわけではなく、経営陣は統計?に基づく目標を、別途、定めている事が明白であった。だから、今期の目標を聞いても、その大多数は個人目標程度しか答えられなかった。私もそんなに優れた従業員ではなかったので同じであった。結果の出る従業員やチームには、より多くの数字が与えられ、成績の悪い人(チーム)には、それなりの易しい目標が与えられた。給与はそんなに変わるわけでもないのに。。
学校を卒業して、就職してサラリーマンを辞めるまで、ほぼ、こんな感じであった。事務職には背負うべき数字を持ち合わせない会社もあった。サラリーマンを辞めてから、約10年になるので、今の状況はわからない。
売上目標を作る場合、当社では以下のような検討をする。
給与、融資先への返済額と内部留保、減価償却費、その他固定費などのあり方である。
もし、現状の規模で売上が前期比20%アップなら、ベースアップは何%、内部留保は何%UPと計算できる。前期比と変わらずなら、合理化やコスト削減で、多少の利益率アップは可能である。が、しかし、従業員の基本部分のベースアップはZEROであり、その他の費目でも増額は出来ない。
話は少し逸れるが、デフレスパイラルの真っ只中の日本経済では、経営陣は売上上積みZEROで計算して万全を期すと思う。そして、意識は、売上げ増より、合理化やコスト削減による利益率アップに向いてしまうだろう。ここで稼いだおカネは、従業員への還元より、会社を強くする為の原資。これは私の考える勝手な一般論である。
当社では、目標設定は、ベスト、ベター、イーブン、ワーストに4分類し、出来るだけ、多くの従業員に共有してもらうように努力している。現在の経済環境では、当社のイーブンは売上増ZEROである。ワーストは前年比マイナス。売上5%増はベター、10%増はベストである。ベストを目指し、プロセスを構築する。具体的に行動指針が出来上れば、あとはそれを実行するだけ。しかし、思い通りにならないのが世の常。必ず、分岐点は訪れる。分岐点がプラスの考慮要因なら良いが、マイナスなら、ベストを諦め、ベターを目指すかどうかの判断が必要になる。判断した結果を出来るだけ多くの従業員と共有する。会社或いはチームの目標が変わる事で、当たり前だが、それによって各々の動き方も変化する。会社の着地目標と個人目標は連動しており、各々で4つの目標を設定しているので、着地点の変更を従業員と情報共有するだけで、個人は迅速に切り替えが可能となる。
一元管理された目標を複数準備して、進捗管理をする事で、行動に無駄がなく、意識もズレにくい。この目標設定は情報共有化を推進するための具体的な解決策にもなった。ちなみに当社では、利益額や利益率についても同様に設定するし、その他の問題が生じた場合においても4つの目標を設定して対処する事を常としている。