社内情報公開の試み

2012.12.01
私は、社内の情報公開を積極的に推進している。目下の抵抗勢力は一般従業員である。隠し事には、結果的に良い場合と、状況を悪化させる場合があるが、恐らく、隠す事で、圧倒的に状況は悪化する方が多いと思う。但し、従業員の悩み事(退職意向や、健康や、家族の問題)を公開するのは、難しいと考えており、当人の了承無しには、原則、非公開としている。 中小企業経営では、従業員ひとりひとりの動きが会社の利益(損益)に大きく影響する。だから、経営者としては、『会社の現状』、『自分の(従業員の)評価』、『今後の方向性』などについて、従業員に理解しておいて頂きたいと切に思っている。そして、自由闊達な意見交換が出来る環境が育てば嬉しい。会社の現状』を知ってもらうために、会社収支関連の資料を見てもらえば良いと思っている。具体的には、月次試算表、資金繰り、会社の借入返済計画などである。更にTDBやTSRが当社をどの様な評価をしているかの資料も、従業員であれば、希望すれば全て閲覧可能である。見ても分からないという従業員も多いので、一方的な公開は中止したが、Cブレインズ社長の渡邊は、毎月、管理職者に試算表の見方をレクチャーしてくれている。今後、裾野が広がる事を期待している。 『自分の(従業員の)評価』も知っててもらいたい情報である。誰が幾ら貰っていて、自分はどこに位置するのかを理解してもらいたい。給与の多い従業員は、自ずと責任感が出てくると思う。逆に貰っていない従業員は負けん気で奮起してくれる事を願っているが、就労意欲を奪ってしまうかも知れない。何事にもリスクは付き物である。全体が停滞する事の方が私にとっての脅威である。 従業員の評価を平準化するために、時間単位での給与一覧表を用いる。そして、時給が多ければ、短時間就労者であっても、就業時間中は、それなりの役職でやってもらう事にしている。長時間の就労者が必ずしもリーダーという事でない。だから、「社員」・「パート」と言う表現は、採用時には分かりにくいので引用するが、社内では一切使用しない。全て「従業員」と呼ぶ。労働契約書も然りである。しかしながら、就業規則はそうなっていない。堀本経由で社労士に話しているが理解できないようだ。二人には、もう少し、慣例に捉われず、法律を素直に受け入れて欲しいと思う。また、給与の一斉公開に関しては、一般従業員から根強い反発があり、給与の情報公開の実現は管理職相当までである。 中小企業の場合、売上と規模がともに成長した時に、新しいポストが用意できる。売上も規模も成長しないと、ベースアップすら叶わず、社内には停滞感が伴う。大企業の様に定年退職者がいるわけでもないので、就労年数が長い従業員へのポスト不足は深刻だ。だから、『会社の方向性(将来展望)』を知っておいて頂きたいと思う。はやる気のある者には、ポストを用意したいと思っている。社長になりたいと思っている従業員には、そのための教育コストは惜しまないじて、情報非公開で得をするのは、既得権益者(会社では上層部)であることは間違いないと思う。情報を公開すれば、上層部は全ての面において、姿勢を正さなければならない。一方、情報公開を完全実現すれば、従業員も相応の責任が発生して、余計なストレスを感じるかもしれない。しかし、自分の人生であるし、しかも一日の大半を使っている就労において、その根幹を知らないのは、損をしていると思う。 「知らなくて良い」。。上様(うえさま)が、決めてくれること。永らく、封建社会の中で日本人が培った負の遺産ではないか。少しだけ、変わっても良いのではないか、経営も変わってきているのだから。と思う、今日この頃である。