非正規雇用?

2012.12.24

以前に書いたブログにも、当社には、非正規雇用(=パートタイマー)と正社員区別なく、まとめて『従業員』と呼ぶことや、当社における『従業員』のミッションなどを各所に書いてきたが、今回は、それに至った経緯について書いてみたい。

 

一般的に、正社員とは、フルタイムで仕事に従事し、他に仕事を持たない者。一方、パートタイマーとは、就労時間が短く、正社員より自由度が高いが、賃金は冷遇される傾向にある。詳しい内容は、ウィキペディアの〔→正社員〕〔→パートタイマー=非正規雇用〕を読んで戴きたい。

 

では、当社は、何故、区別をしないのか?

 

まず、労働法では、正社員とパートタイマーの区別がないことが、一番の理由である。そこに線引きをしようとすればする程、たくさんの矛盾が生じてしまう。言い換えると、正社員を厚遇、パートやアルバイト(以下、パート)を冷遇と位置付けようとすればする程、組織運営ねじれが生ずることになる。

 

しかし、労働法に準じた区別のない雇用をするとなると、いわゆる”パート”のつもりで入社した者の意識を変えて貰わないことには、区別無く、従業員としての条件を提示するには、やはり躊躇してしまうのも素直な感想である。別角度からの見解であるが、弊社がショートタイムの従業員を雇用したいときでも、パート・アルバイトで求人するしかないのも現実である。この様な、現在の社会全体のシステムと、当社の考え方の乖離を埋める手立ては、現在は従業員同士の助け合いによる退職者防止に頼る他は見いだせてはいない。

  数年前より当社が利用させて戴いている、ビジネススキル研修を主催するT社においても、当初、一旦は、”パート”は研修の参加をお断りとされた。当社が労働法違反でないかとの異議を唱えたら、あっさりと参加を許可して貰えた。一流の大企業で、しかも社員研修を行う会社においてでも、悲しいかなその程度の認識でしかない。しかしながら、T社の研修のコンテンツは、大変価値があるもので、当社の成長に不可欠なものであることも併せて付け加えておきたい。

もし、業務の中で、単純労働だけを切り出せる業態であれば、パートの給与も低賃金で構わないのかも知れない。しかしながら、当社の強みはオペレータのコミュニケーション能力である。大部分が主戦力のオペレータとして活躍している短時間労働者が、低賃金労働者であってはならない。当社の仕組み上、短時間労働者を安く評価する訳にはいかない。しかし、この様な利益の再分配では、世間の価値観で言う”正社員”は、世間のそれより、割を食う(待遇が悪い)ことになるかも知れない。この解決策は当社も相当悩んだが、フルタイムの従業員には、それなりのメリットも、大前提の要件を満たしながら提供できていると思う。

 

当社内の調査であるが、短時間労働を希望する者の大半は、『所得税上の配偶者控除以内』&『ご主人の勤める会社の家族手当の支給対象以内』を希望する。年金や健康保険についても、当社の用意しているものに入りたがらない。至極当たり前のことである。だって、旦那様の会社で加入する健康保険や厚生年金などで十分間に合うからである。

また、就労の理由としては、『家計(収入)の補填』、『社会との繋がりを持ちたい』、『空いている時間の有効活用』で、9割超になる。ご主人がいて、独立した立場でいたいと思っている人は、とにかく珍しい。これが短時間労働者現実である。

 

2009年、社会システム自体の変化を、民主党政権が掲げた『配偶者控除の廃止』と、『国民年金・厚生年金一本化』に、大いなる期待を寄せていたが、衆知の通り、あのゴタゴタで法制化はおろか、今や政権自体が取って代わられてしまった。『社会保障と税の一体改革』は、今後はどうなるのか?あきらめず良い方向に改定されることを期待しながら、注意深く見守っていきたいと思う今日この頃である。