社内の共通言語を作る

2013.03.08
起業したら、まず最初に着手するのが、従業員の採用活動である。当初、従業員は全員中途採用で、言わば、私も含め、寄せ集めであった。前職までの企業文化や、仕事の経験、仕事の進め方、仕事に割く時間などがバラバラ。実際の仕事でも、至る所に穴が出来た。お世辞にも、質が高い状態とは言えず酷かったと思う。取引先にも頭ばかり下げていた。間もなく、社内ルールの整備、行動規範を作って周知する。従業員の反応は今一か、今二。とにかく新しいことへのチャレンジに対してのアレルギーは強かった。理想と現実を思い知った瞬間であった。 平成19年、木更津支店で年売上8400万円の取引先を失ったことを機に、木更津”支店”を木更津”センター”に格下げを決意した。それと同時に社内研修を始めた。社内研修は、月一回行った。内容は『社内清掃、発声練習(声のトーンを変えての発声、早口言葉)、今月のテーマ』で、約3時間。部署問わず全員参加。”今月のテーマ”では、当時、問題となっていた事項を取り上げてレクチャーをした。当初の2年間、私が講師となって研修をやってみたが、私の指導力のなさも手伝って、どうも上手く捗らない。効果は、やらないよりは”マシ”と言う程度であったと思う。3年目からは、”今月のテーマ”をDVD視聴・感想文の提出にスタイルを代え、芝公園、木更津の各センター長に任せた。 そこで、平成22年から外部の研修制度を頼ることになる。以前にも触れたが、ショートタイムの従業員を含め、全従業員は、ビジネスの基礎講座(以下、セミナー)に例外なく参加して貰う。セミナーの会場は有楽町である。特に木更津の従業員へ、移動時間(3.5時間)とセミナー受講(1講座90分)の計5時間分の給与と交通費往復2920円を支払いながら、今も続けている。そして、年間4〜6講座/人、基本に立ち返ると言う意味で、同じセミナーを毎年必ず受講して貰っている。時々、基本に立ち返る行為は、新発見もあったりして、総じて良いことだと思う。 このセミナーでは、私が教えることが苦手だった、ビジネスの基本中の基本や常識(挨拶や、メールの使い方、メモの取り方、モノの考え方、等々)を習う。もちろん、このセミナーに出なくて良いレベルの従業員もいる訳であるが、セミナー受講の目的は、このセミナーで習ったことを社内の共通言語にしようと目論んでのことであったので、参加して貰っている。 平成22年以降の研修制度は、社外セミナーと、既述の社内研修、オペレータの商品研修(かなり頻繁に実施)があり、個人面談(月1回)、シスター面談(不定期)を合わせると、共通言語作りへ割く時間(月間)は、最低でも、芝公園で10時間弱、木更津は13時間超と大幅に増えることになった。 当時、従業員には、都合の良い時間を使って働いて構わないと申し上げていたので、就労は月40時間以下、特に、月20時間以下という従業員もかなり存在していた。研修時間の増加により、その者達の実働時間はかなり減り、研修だけで終わってしまうので、OJTで修得すべきノウハウにも手つかず、月80時間以上勤務している従業員とのオペレーティング技術の差が顕著になってしまった。翌年、月80時間を最小勤務時間とすることを従業員にお願いして回った。7割方、快く勤務時間を増やすことに賛同して貰えたが、残念ながら、勤務時間の増加に都合が付かず退職者も出てしまった。しかしながら、社内的には、出勤時間の増加によって、メンバーの固定化が進み、オペレーターにおいては接客技術が改善した。 外部のセミナーを受講するようになって、今年で4年目になると思うが、今、それを含め、当社の研修制度が、少しずつであるが、効果を発揮し始めていると感じる。どれが、どの程度かは、数値化は出来ていない。ただ、共通言語ができることで、仕事に対する価値観が揃ってきたのを実感出来るし、また、チャレンジする姿勢も多少上向いたと感じている。 今年は、中間管理職の強化を目的に、実りある会議体を作りたいと思う。その共通言語作りに選んだのが、富永さんの『すごい会議』である。奇しくも、富永さんは、打合せ中に「『すごい会議』は、社内の共通言語なんですよ。」と仰った。私は、その言葉には、甚く感動した。だって、自分が目指してきたのは、共通言語作りだったからである。『すごい会議』にかかる当社のコストは、一人あたり約12万円で、20名に受講してもらう。さすがにO千万するフルコースは、受講させてあげることは出来ない。富永さんに相談しつつ、必要最低限のスキル修得が見込める様なメニューにカスタマイズをして戴いた。それでも、当社にとっては、かなりの大金ではあるが、チャレンジしてみる価値があると思っている。更なるコミュニケーションスキルの向上を目指してだ。 『すごい会議』参加メンバー20名のうち、一体、何人が、このセミナーで成長してくれるのだろうか?私としては、せめて、参加者の30%くらいには何らかの成果が欲しいとは思うのだが。。結果はすぐ?半年後?一年後?。。とにかく、今からとても楽しみである。